表彰式の台本作成マニュアル|例文や司会進行のポイントも紹介
表彰式を実施する際は、スムーズな司会進行のために台本を準備しておくことが重要です。台本があることで司会者は落ち着いて進行でき、受賞者の満足度やモチベーション向上にもつながります。
本記事では、表彰式の台本が必要な理由、プログラム例・流れ、台本のテンプレート・例文、台本作成前の準備、成功させるポイント、失敗例を紹介します。
表彰式に台本が必要な理由

表彰式をスムーズに進めるには、事前に台本を用意しておく必要があります。台本があることで式全体の流れを整理し、司会者や運営スタッフが安心してスムーズに進行することができます。
また、台本作成は表彰式の完成度を高める役割も担っています。参加者にとって満足度の高い表彰式を実施するためにも、準備段階で台本を作り込むことが重要です。
表彰式の基本的なプログラム例・流れ

表彰式のプログラムは、参加者が内容を理解しやすく、進行が滞りなく進む構成にすることが大切です。一般的なプログラム例は下記の通りです。
- オープニング:オープニングムービーやBGMで式のスタートを演出する
- 開会の挨拶:司会者が式典の開始を宣言する
- 受賞者の発表:各賞の受賞者を紹介する
- 表彰:賞状や記念品の授与・記念撮影をする
- 受賞者の挨拶:受賞者が心境や今後の抱負を述べる
- 代表者の挨拶:代表者が総括や今後の展望を伝える
- 閉会の挨拶:司会者が式典の終了を宣言する
表彰式のプログラムは、目的や賞の数、来賓の有無などに応じてアレンジ可能です。
表彰式の台本テンプレート・例文

以下では、表彰式の流れに沿って、実際に使える台本のテンプレート・例文を紹介します。
オープニング
「皆さま、本日はお忙しい中、〇〇年度 表彰式にご出席いただき、誠にありがとうございます。開会まであと数分となりましたので、どうぞご着席いただき、開始までしばらくお待ちください」
「それではここで、今年度の活動を振り返るオープニングムービーをご覧いただきます。スクリーンにご注目ください」
開会の挨拶
「ただいまより、〇〇年度 〇〇表彰式を開始いたします。改めまして、本日の司会を務めさせていただきます、△△部の〇〇(名前)です。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、お忙しい中ご出席いただき、誠にありがとうございます。この一年間の成果を称え、日頃の努力に感謝をお伝えする大切な式となります。どうぞ最後までごゆっくりお過ごしください」
受賞者の発表
「それでは、〇〇年度の各賞の発表に移ります。この一年間、皆さまの努力と取り組みが、さまざまな成果として実を結びました。その中でも、特に優れた実績をおさめられた方々を順にご紹介いたします。受賞者の発表は、お名前を読み上げるとともに、ステージ上のスクリーンにもご紹介を表示いたします。また、お手元のパンフレットにも受賞者一覧を掲載しておりますので、あわせてご覧ください。それでは、最初に〇〇賞の発表です。受賞者は……△△部 〇〇さんです。おめでとうございます!」
(拍手の促し)
「皆さま、盛大な拍手をお願いいたします」
(登壇誘導)
「お名前を呼ばれた方は、会場右手の階段より壇上へお上がりください。足元にお気をつけてご移動ください」
表彰状の授与
「続きまして、表彰状の授与に移ります。〇〇賞の受賞者である、△△部 〇〇さん。前方ステージへお進みください。足元にお気をつけてご移動ください。表彰状の授与は、△△社長より行います。△△社長、どうぞご登壇をお願いいたします」
(両者が揃ったことを確認)
「それでは、表彰状の授与です。〇〇さんは、〇〇プロジェクトにおいて顕著な成果をおさめ、チームへの貢献が高く評価されました。その功績をたたえ、ここに表彰いたします」
(賞状・記念品を手渡す)
「おめでとうございます。皆さま、どうぞ大きな拍手をお送りください」
(写真撮影)
「続きまして、記念撮影を行います。受賞者の皆さまは、正面のカメラに向かってお立ちください。笑顔でお願いいたします」
「はい、ありがとうございます」
「受賞者の皆さま、本当におめでとうございます。皆さまの今後のさらなるご活躍を、心より期待しております。それでは、受賞された皆さまはご着席ください。どうぞお気をつけてお戻りください。会場の皆さま、受賞された皆さまに、今一度大きな拍手をお願いいたします」
受賞者の挨拶
「続きまして、受賞者を代表して、△△部 〇〇さんよりご挨拶をいただきます。〇〇さん、どうぞ前方ステージへお進みください。会場左手の階段からご登壇をお願いいたします」
(スピーチ終了後)
「〇〇さん、力強いお言葉をありがとうございました。日頃のご尽力と、これまで積み重ねてこられたご努力の一端を伺うことができ、会場にいる私たちも胸が熱くなる思いでした。それでは〇〇さん、どうぞご着席ください」
(拍手を促す)
「会場の皆さま、〇〇さんに、今一度大きな拍手をお願いいたします」
代表者の挨拶
「続きまして、△△社長よりご挨拶を申し上げます。△△社長、どうぞ前方ステージへお進みください」
(挨拶後)
「△△社長、ありがとうございました」
閉会の挨拶
「以上をもちまして、〇〇年度 〇〇表彰式の全プログラムを終了いたします。受賞された皆さま、本日は誠におめでとうございました。日頃から積み重ねてこられたご努力が、このような形で実を結びましたことを、心より嬉しく思います。また、ご来場いただきました皆さまにも、厚く御礼申し上げます。本日の表彰式が、今後のさらなる飛躍のきっかけとなれば幸いです。それでは、これにて閉会とさせていただきます。どうぞお気をつけてお帰りください。ありがとうございました」
台本作成前の準備

以下では、台本を作り始める前に整理しておきたい項目について紹介します。事前準備を整えておくことで、当日の進行がスムーズになり、迷わず読み上げられる台本を作成しやすくなります。
目的とコンセプトの明確化
台本を作る前に、まず表彰式の目的とコンセプトを明確にしておくことが大切です。功績を称えるだけでなく、企業理念の浸透、社員や関係者のモチベーション向上など、目的によってイベント全体のテーマや雰囲気が変わります。
たとえば、周年イベントやキックオフと連動した表彰式であれば、感謝のメッセージや今後のビジョンを強調する進行がふさわしいでしょう。目的をはっきりさせることで、台本全体のトーンや構成が決まり、統一感のある表彰式を実施できます。
式の雰囲気・トーンの決定
表彰式の雰囲気をどうするかは、台本の完成度に大きく影響します。フォーマルで厳かな式にするのか、カジュアルで和やかな式にするのかによって、司会の言葉遣い、BGM、進行のテンポなどが大きく変わってきます。事前に雰囲気を決めておくことで、プログラム構成に一貫性が生まれ、参加者にとっても心地よい表彰式になります。
たとえば、落ち着いた式典にしたい場合は、丁寧語や謙譲語を中心に、感情の起伏を抑えた落ち着いたトーンで進行するとよいでしょう。一方、社内交流を兼ねたカジュアル寄りの表彰式であれば、丁寧語を基本としつつも、親しみやすい表現やゲストへの軽い呼びかけを取り入れると、会場の空気が和らぎます。
受賞者・登壇者の情報確認
台本作成時にもっとも重要なのが、受賞者や登壇者の情報確認です。氏名・所属先・役職には必ずふりがなをつけ、読み間違いや肩書きの誤りがないよう徹底します。読み間違いは式典の雰囲気を大きく損なうため、事前チェックが欠かせません。
受賞理由を読み上げる際に文章量や表現を揃えておくことは、全体の流れをスムーズにし、まとまりを出すうえで重要です。登壇者の紹介順、登壇場所、コメントの有無なども合わせて整理しておきましょう。
進行役・スタッフの役割分担
台本をスムーズに運用するには、司会者だけでなく、運営スタッフの役割分担も重要です。受賞者の誘導、音響、照明、映像、写真撮影、タイムキーパーなど、誰がどの工程を担当するのかを明確にしておきましょう。
台本の中に、「音響:BGM開始」、「カメラマン準備」などの指示を小さく入れておくと、当日の動きが統一され、トラブルも防ぎやすくなります。
司会を成功させるためのポイント

以下では、表彰式の進行をスムーズに行うために、司会者が押さえておきたいポイントを紹介します。
立ち位置や席次を事前に把握する
表彰式では、受賞者・登壇者・来賓の立ち位置や席次を事前に把握しておくことが欠かせません。動線を把握できていると、「どちら側の階段から上がるのか」、「どの位置で賞状を受け取るのか」といった案内をスムーズに行うことができ、当日の誘導が滞りなく進みます。
また、会場のレイアウトや席次を理解しておくことで、状況に応じたアナウンスが的確にできるようになり、イベント全体の流れも円滑になります。登壇ルートが複数ある場合は、台本に「右手の階段をご利用ください」、「中央の花道からご登壇ください」など、具体的な指示を事前に書き込んでおくと、受賞者が迷わず移動できます。
機材や設備の動作を点検しておく
表彰式では、マイク・音響・照明・映像など、さまざまな機材を使用します。これらのトラブルは司会進行に大きな影響を与えため、必ず事前リハーサルで動作を確認しておきましょう。特にマイクは接触不良やハウリングが起きやすく、音量・高さ・位置などを細かく調整しておくことが重要です。映像を使用する場合は、スクリーンとの距離感や会場の明るさによって見え方が変わるため、事前に上映テストを行うと安心です。
司会者が機材トラブルを想定しておくことで、予期せぬ場面でも落ち着いて対応できます。台本には、「音響:BGMスタート」、「映像担当:ムービー投影準備」、「マイク予備交換」など、必要となる指示を小さく記載しておくと、進行の滞りを防ぎやすくなります。
盛り上げる場面でメリハリをつける
司会進行役は、盛り上げ役として メリハリのある挨拶やアナウンスを心がけることが大切です。特に受賞発表や表彰状の授与は、会場の一体感を生む重要な場面。司会者が盛り上げることで式典全体の雰囲気が引き締まります。
拍手を促す際も、「盛大な拍手をお送りください」、「今一度、大きな拍手をお願いいたします」など一言添えるだけで、より印象的で温かみのあるアナウンスになります。
一方、説明や読み上げの場面では、落ち着いたトーンに切り替えることがポイントです。進行内容に合わせて声の強弱やスピードを調整することで、参加者が聞き取りやすくなり、式全体にメリハリを生み出せます。
想定されるトラブルに備える
表彰式では、機材トラブルや登壇者の遅れなど、予期せぬ事態が発生することがあります。司会者は慌てず、場をつなぐためのフォロー文をいくつか準備しておくと安心です。
たとえば、機材が整うまで時間が必要な場合は、「ただいま準備を整えております。今しばらくお待ちください」と落ち着いたトーンで伝えると、会場の不安感が軽減されます。
登壇者が到着していないときは、「登壇の準備が整うまで、少々お待ちください」など、一言添えるだけでスムーズに流れを保つことができます。
表彰式の司会に関するよくある失敗例と対策

以下では、表彰式で起こりがちなトラブルと、その対策について紹介します。事前に把握しておくことで、自信を持って臨機応変に対応できるようになります。
名前・肩書きの読み間違い
表彰式でもっとも多いトラブルが、受賞者の名前や肩書きの読み間違いです。読み間違いは受賞者に失礼になるだけでなく、会場の空気を一気に冷やしてしまう原因にもなります。対策としては、台本に必ずふりがなをつけることが基本です。とくに読みが複数ある漢字、珍しい名字、役職名の正式名称は念入りにチェックしておきましょう。
登壇ルートの混乱・誘導ミス
表彰式で多いトラブルのひとつが、受賞者がどのルートから登壇すればよいのかわからず、ステージ前で立ち止まってしまうケースです。これは進行が止まるだけでなく、受賞者が不安になってしまう原因にもなります。対策として、司会者はあらかじめ会場の動線を把握し、台本に具体的な誘導文を記載しておきましょう。「お名前を呼ばれた方は右手の階段よりご登壇ください」、「ステージ中央のマイク前にお進みください」など、方向と目的地を明確に伝えることで、迷わずスムーズに前へ進んでもらえます。
スピーチが長くなり時間が押す
受賞者のスピーチが想定より長くなり、式全体の進行が押してしまうことがよくあります。企業イベントでは、後ろに懇親会などの別プログラムが控えている場合も多いため、時間管理が重要です。対策として、事前に受賞者へ「1分程度でお願いいたします」と目安時間を伝えておくと安心です。台本にも「短めのご挨拶をお願いいたします」と記載しておくと、本番でも声をかけやすくなります。
写真撮影時に混乱する
写真撮影は式典のハイライトですが、立ち位置が決まっていないと受賞者が戸惑い、撮影までに時間がかかってしまうことがあります。対策として、事前にステージの幅や奥行きを確認し、並ぶ順番や位置を決めておくことが大切です。司会者の台本には「受賞者の皆さまは中央にお並びください」、「カメラマンの指示に従って整列をお願いいたします」など、具体的な案内文を書き込んでおくと、当日スムーズに誘導できます。写真撮影がスムーズに進むと、式全体の満足度も高まります。
まとめ

表彰式を円滑に進めるためには、事前に台本を準備し、進行の流れを明確にしておくことが重要です。プログラムに沿った台本があれば、初めて司会を任された方でも安心して進行できます。さらに、機材チェックや登壇ルートの確認、盛り上げる場面のつくり方を把握しておくことで、式典全体の完成度が大きく高まります。台本づくりと進行準備を入念に行い、参加者全員にとって記憶に残る表彰式を実現しましょう。
この記事を書いた人
ビジメシ編集部
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