オンラインイベントにアンケートは必要?導入メリットや実施手法を解説
アンケートで参加者の意見を聞くことにより、本質的なニーズをつかむことができます。アンケート結果を反映し、オンラインイベントの質を上げることでリードの獲得に繋がる場合もあります。
しかし、アンケートで何を聞けばいいかわからない方もいるでしょう。この記事では、
- アンケートの目的やメリット
- おすすめのアンケートツール
- オンラインイベントでアンケートを実施するタイミング
- アンケートの作り方や作成例
- 回答率を上げるためのポイント
を解説します。
この記事を読めば、アンケートをスムーズに作成できるようになるでしょう。
目次
オンラインイベントでアンケートを行う目的・メリット
オンラインイベントでアンケートを行う意義は大きく、次のようなメリットが考えられます。
- 潜在的なニーズを把握し、次回の企画に活かす
- リードの獲得に役立つ
- 「参加者の声」としてホームページに掲載できる
- KPIの達成度を測るデータが得られる
ここでは、それぞれのメリットについて具体的な内容を解説します。
潜在的なニーズを把握し、次回の企画に活かす
文字を使えば相対して意見を伝えなくて済むため、参加者の本音に近い情報を得られます。参加者の悩みや課題を正確に把握し、ニーズを満たす意識で企画を練れば、イベントの満足度を高められるでしょう。
オンラインイベントは大勢が参加するケースが多いため、参加者一人ひとりの意見を吸い上げる労力が甚大です。アンケートは参加者全員の意見を一斉に集められる効率的な方法だといえます。
リードの獲得に役立つ
アンケートで氏名や住所を収集すれば、DMやチラシなどで次回以降のオンラインイベントの案内を出せます。オンラインイベントの参加者は、少なからず主催者や企業の活動に興味を持っていることが考えられます。
アンケートの実施によって参加者との関係を継続できるため、リードの獲得に役立ちます。確実に顧客の情報を集めるために、アンケートへの回答は必須にしましょう。
参加者がチラシやDMの情報に興味を持ち、行動を起こすようになるためには、ニーズに即した情報を送る必要があります。アンケート結果とMA(マーケティングオートメーション)ツールを連携すれば、一人ひとりのニーズに合った情報を送りやすくなります。
MAツールはマーケティング活動の仕組み化を実現するものです。顧客の情報を一元的に管理し、顧客の興味・関心に合わせて自動的に情報を送付します。
「参加者の声」としてホームページやDMに掲載できる
アンケートで得た回答を「お客様の声」としてホームページやDMに掲載すれば、イベントに対する信頼性向上の効果が期待できます。ただし参加者の声を口コミで掲載する際は、相手方の許可を取るようにしましょう。
使用許可を取らずに掲載すると、そのことを知った参加者からクレームが入るおそれがあります。
KPIの達成度を測るデータが得られる
アンケートは、イベントの開催に当たって設計したKPIを測定する指標獲得の場にもなります。KPIは組織や業務の目的達成のために設定される指標で、実行すべきプロセスの達成状況を確認するためにも使われるものです。
たとえば「参加者の高い満足度」を目標に設定した場合、アンケートでイベントの効果測定が可能です。
オンラインイベントにおすすめのアンケートツール
オンラインイベント用のアンケートフォームを無料で作成できるツールを3つ紹介します。
- Zoom
- Googleフォーム
- formrun(フォームラン)
ここでは、各フォームの機能や特徴、メリットを紹介します。
1.Zoom
グループディスカッションやオンライン懇親会で使われるZoomミーティングには、アンケートを実施する機能が備わっているのが特徴です。イベントの開催中にその場でアンケートを実施できるため、生の声を手軽に入手できます。
収集した回答はその場で確認でき、ミーティング終了後には、投票レポートのダウンロードも可能です。ただしZoomミーティングの投票機能を使うためには、有料ライセンスを付与されている必要があるので注意しましょう。
2.Googleフォーム
Googleフォームは、Googleが提供する無料でアンケートを作成できるツールです。収集した情報はスプレッドシートと連携して、データ分析も可能です。
Googleフォームは回答方式が豊富にあるため、作成者の意図に合ったアンケートを容易に作成できます。作成に専門的な知識は求められないため、初めてアンケートを作成する方でも戸惑いにくいでしょう。
3.formrun(フォームラン)
手間をかけずに短時間でアンケートを作成したい人におすすめなのがformrunです。目的別に用意されたテンプレートに設問を設定するだけで、30秒でフォームを作成できます。
機能も充実しており、問い合わせ状況の確認やメール対応など、フォームに関する業務を一元的に管理。大企業からスタートアップまで多くの企業で活用されています。
オンラインイベントでもツールやWeb会議システムを使えばアンケートを実施できる
前提として、オンラインイベントでは紙媒体のアンケートを実施できません。しかし、ツールやWeb会議システムを使えば、オンラインイベントでもアンケートを実施できます。
Web上でアンケートを実施する大きなメリットは、集計も自動で行えることです。手作業でアンケート結果を集計・入力する手間がかからないため、業務量の削減や計算ミスの防止に寄与します。
またアンケート結果を記録として残すことも可能です。データを分析して問題点をあぶり出し、次回への改善にも繋げられます。
オンラインイベントでアンケートを実施するタイミングは2つ
オンラインイベントでアンケートを実施するタイミングは、大きくイベント開催前と開催後の2つに分かれます。
イベント開催前のアンケートは、すでに申し込みを済ませた人に対するもの、イベント開催後のアンケートは、参加したイベントの感想や意見を書き入れるものです。それぞれのアンケートの効果や実施時の注意点、具体的な質問の内容を解説します。
イベント開催前
イベント開催前のアンケートは、参加者のニーズを把握する目的で行われる場合が多くなっています。参加者が知りたい事柄をイベントに盛り込めば、高い満足度を得やすくなるでしょう。
申し込みフォームへの入力が必要な場合、イベント開催前のアンケートも同時に行うことをおすすめします。なぜならアンケートの存在に参加者が気づきやすくなり、回答率の向上が期待できるためです。
質問の内容
「イベントに対して期待することは何ですか?」「どのような疑問や悩みを持っていますか?」など、参加者に質問を投げかけましょう。具体的で参考になる意見が寄せられる場合があります。
詳細な内容まで決まっているイベントであれば、少しだけ内容を教えて、それに対する参加者のリアクションを確認してもいいでしょう。
しかし、質問の内容があまりにも具体的すぎると回答のハードルが上がり、参加をためらう人が出ることもあります。質問はできるだけシンプルに、また少ない数にとどめましょう。
イベント終了後
イベント終了後のアンケートは、フィードバックによる次回イベントの改善や、リードの獲得を目的に行われます。スタッフの対応やプログラムの内容をヒアリングすることで、次回イベントの企画やターゲティングに役立てられます。
リードの獲得が目的の場合は質問内容というより、参加者へのフォローに重点が置かれます。イベントに参加したからには興味を持っている可能性が高いため、顧客の熱を失わないよう、ホスピタリティある対応を心がけましょう。
質問の内容
イベント終了後に行われるアンケートでは、次のような質問を盛り込みましょう。
- イベント全般への意見や感想
- 講師への意見や感想
- スタッフ対応や気づいた点
- メールアドレスや連絡の可否
定期的なイベントでは連絡先を聞いておくと、次回以降の開催案内を送ることが可能です。連絡先を聞く際は、イベントの案内を送ってもいいか許可を取るようにしましょう。
許可を得ずにメールを送ると相手方に迷惑メールだと判断され、不快さが生じる原因になり得ます。企業イメージの失墜にも繋がるため、マナー違反とならないよう注意しましょう。
アンケートの作り方と作成例
ここでは基本的なアンケートの作成方法や流れを紹介します。
アンケートの作成手順
基本的なアンケートの作成手順を紹介します。
- 質問内容を決める(目的/項目/順番)
- 質問タイプを決める(ラジオボタン/チェックボックス/スケール/テキストボックス)
- 質問文を書く
- 選択肢を準備する
まず質問内容を考える際は、イベントの目的との整合性を意識しましょう。オンラインイベントの改善点を知りたいのか、商品に対する興味度を把握したいのかによって質問は変わります。
質問タイプを決める際は、次の基準を参考にしてください。
ラジオボタン | 選択肢の中から一つの回答を選ぶ場合 |
チェックボックス | 選択肢の中から複数の回答を選ぶ場合 |
スケール | 段階で評価してもらいたい場合 |
テキストボックス | 感想や意見を自由に書いてもらいたい場合 |
質問文を考える際は、誰にでもわかるようなシンプルな文章にしましょう。また圧迫感を与える文章になっていないか注意が必要です。
選択肢は「設問に対して網羅性があるかどうか」という部分を重視します。選択肢の数が少なすぎると、参加者のニーズを正確に把握できなくなってしまいます。
またどれに該当するか判断できず、困ってしまう参加者が出ないよう「その他」の項目を設けることも大切です。各選択肢が似た内容ではないかという視点も持つ必要があります。
アンケートの調査項目例
イベント終了後に実施するアンケートの調査項目例です。
本日は〇〇(オンラインイベント名)にご参加いただき、誠にありがとうございます。
今後の参考にさせていただきたく、ご意見・ご感想をお聞かせください。
- このイベントが開催されることは、どんなきっかけで知りましたか。
- 今回のイベントについて、総合的にどの程度満足していますか。
- 全問のように回答した理由をお聞かせください。
- 今回のイベントの講師について、どの程度満足していますか。
- 定期的にこのイベントが開催される場合、また参加したいと思いますか。
- イベント情報の配信を希望しますか。
- 全問で「はい」と答えた人は、お名前や連絡先を教えてください。
質問項目や質問文はテンプレート化しておき、適宜変更するようにしておくと次回以降の作成時に便利です。
アンケートの回答率を上げるためのポイント
単に聞きたいことを書くだけでは、アンケートに答えてもらえない可能性もあります。アンケートの回答率を高めるために、次のポイントを意識しましょう。
- 答えやすさを意識して問題を作成する
- アンケート・回答ともに文章量を少なくする
- 質問の順番にも気を配る
- イベント中にアンケートの回答時間を設ける
なぜこれらのポイントが重要だといえるのか、意識することによってどのような効果があるのか解説します。
答えやすさを意識して問題を作成する
参加者が答えやすい質問をすることで、回答率が上がる可能性が高くなります。答えやすい質問にするには、ターゲットに合わせた言葉づかいが求められます。
業界人が参加するなら専門用語を使っても、参加者は理解可能です。ただし一般の方をターゲットに据えている場合、専門用語を誰にでもわかるような言葉に言い換える必要があるでしょう。
また抽象的な表現はせず、質問内容を具体化する必要があります。「このイベントはどうでしたか?」と聞かれると、ふわっとしすぎており、回答の際にストレスを感じるかもしれません。
意見や感想を求める際は、全体か講師の質、スタッフの対応、どの部分を知りたいのか明記するようにしましょう。
またイベント開催前のアンケートでは、特に答えやすさを意識する必要があります。イベント開始時のアンケートで長文の答えづらい質問が多いと、申し込みへのハードルが上がってしまうためです。
文章の短さや回答方式だけでなく、設問の数も多くなりすぎないよう配慮しましょう。
アンケート・回答ともに文章量を少なくする
質問の文章を短くすることで、内容が伝わりやすくなります。たとえば「~ですが」という前提はできるだけ省いて、要点を簡潔に述べるようにしてください。「~ですが」は多くの場合、余計な前置きになっている可能性が高いためです。
また回答を求める際は、文章ではなく選択式で答えてもらうようにしましょう。依頼されたアンケートで文章を書くのは、面倒だと感じられてしまう恐れがあります。参加者の視点に立って、回答の負担を意識してアンケートを作成することが大切です。
質問の順番にも気を配る
重要項目を冒頭に持ってくるよう、意識して構成を作成しましょう。なぜなら終盤に差しかかると集中力が途切れてしまい、有意義な回答をもらいにくくなるためです。
制限時間が設けられている場合、おざなりに書かれたり、空欄のまま提出されたりしてしまうこともあります。確実に回答してほしい重要な質問は序盤に持っていき、優先度が低い質問はできる限り下部に位置づけます。
イベント中にアンケートの回答時間を設ける
アンケートを実施するタイミングはイベント終了後から時間が経っていない程、好ましいです。なぜなら人の記憶は時間の経過によって、薄れゆくものだからです。
人の忘却と時間の関係を示したエビングハウスの忘却曲線によると、何かの知識を得た時、20分後には42%、1時間後には56%忘れるとされています。
出典:エビングハウスの忘却曲線 | 社員研修・人材育成用語集
1時間後には学んだことの半分は忘れてしまうため、有意義な情報を得たいなら、イベント終了後即座にアンケートを実施する必要があります。新鮮な声を得るという部分を重要視すると、イベント中にアンケートに答えてもらうのがいいといえます。
Zoomミーティングのアンケート機能はイベント中に回答してもらい、結果を集計できるのでおすすめです。
まとめ
オンラインイベントのアンケートは次回への改善やリードの獲得、イベントに対する信頼性向上、KPIの指標獲得などの効果があり、集客やブランディングなどさまざまな面でメリットがある取り組みです。
アンケートを作成する際は、文章の少なさや質問の順番、わかりやすい言葉のチョイスなど細かい部分への配慮が必要になります。
最初は戸惑うかもしれませんが、本記事で解説したアンケートの作成手順や注意点、ポイントを意識すれば、参加者が回答しやすいフォームの作成ができるはずです。
この記事を書いた人
しゅんぺい@ライター